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女性天皇雑感
Shu's blog 雌伏編さんの「女性天皇」を読ませていただいて、大いに刺激を得たので少し感想を述べてみたい。
ただし、例によって、体系だった考察をしているわけでもなければ、明快な政策提言をしているわけでもないので、ご容赦のほど(><)。 自民党が憲法改正草案の大綱試案の中で触れたこともあって、女性天皇の是非をめぐる議論がふたたび活性化している。印象としては、女性天皇を認める意見が主流を占めつつあるようだが、僕自身は「なるようになる」というのが偽らざる気持ちだ。 天皇家は、時代の流れの中で、時には驚くべき変化を遂げながら今日まで存続してきた。僕は、天皇家が伝統と権威に寄りかかって安穏と続いてきたとは、どうしても思われない。むしろ、歴代天皇の現実的な政治感覚見……わけても時の権力者との絶妙な距離のおき方が重要だったのではなかろうか。 それでは、現代日本の権力者は誰か。名目上も、実態においても、それは国民であろう。実際、天皇家は、かつての藤原氏や徳川家、薩長藩閥政府とうまく共存したように、今日では、日本国民に対して、その鋭敏な政治感覚を働かせているように見える。 たとえば、昭和天皇は側室を廃止した。男子誕生の可能性を減らすことになるにもかかわらず、側室を置くことが国民感覚に合わないことに配慮した上でのご判断であったと言われる(ちなみに明治天皇には6人の側室がおり、大正天皇は側室の子であった)。 昭和天皇のさらに重大なご決断は、皇族どころか旧華族ですらない女性(口の悪い人は「粉屋の娘」と呼んだ)を皇太子の后として迎えたことだ。これに対する当時の天皇家周辺の抵抗感は、いかばかりだったろうか。「これで皇室もお終いだ」との声も出たと言う。 しかし、結果として、このご成婚によって空前の皇室フィーバーが巻き起こったことは言うまでもない。それと同時に、「普通の家族」としての天皇家が国民に強くアピールされることになった。「民間人」との婚姻は、藤原氏や徳川家との婚姻と同様の政治的意味を持ったと言えるのではないだろうか。 国民世論は、たしかに深い見識や熟考によって女性天皇を支持しているわけではない。また、皇室の様々な「伝統」は、変えずにすむものなら、変えるべきではないとも思う。しかし、権力者である国民世論の支持なしに、安定した天皇制を維持することは難しい。そのことを一番よく認識しているのは、ほかならぬ天皇ご自身であろう。 国民の意思が女性天皇を支持すれば、皇室はそれに合わせて「新しい伝統」を生み出していく。支持しなければ、旧宮家を復活させるだろう。どちらにせよ、皇室は存続し、天皇制は維持されるはずである。 ちょっと楽観的な(天皇制に反対される方から見れば悲観的な)意見だろうか?
by priestk
| 2004-11-27 16:47
| 天皇論
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